IgA腎症とは
IgA腎症は、腎臓のフィルターに炎症が起こる病気です
IgA腎症は、免疫に関わる「IgA」というたんぱくが腎臓の糸球体に沈着し、炎症を起こす病気です。糸球体は、血液をこして尿をつくる「腎臓のフィルター」の役割をしています。ここに炎症が続くと、血尿や蛋白尿が出たり、少しずつ腎機能が低下したりします。
IgA腎症は、世界的にもよくみられる原発性糸球体疾患のひとつです。
どんな症状がありますか?
IgA腎症では、次のような所見がみられます。
- 健康診断で尿潜血を指摘される
- 蛋白尿を指摘される
- かぜなどのあとに、赤い尿・茶色い尿(ウーロン茶色など)が出ることがある
- 病状が進むと、むくみや血圧上昇、腎機能低下がみられることがある
ただし、初期には自覚症状がほとんどないことも少なくありません。そのため、学校検尿や健診の尿検査がきっかけで見つかることも多い病気です。
原因は何ですか?
IgA腎症は、はっきり一つの原因で起こる病気ではありません。
現在は、粘膜免疫の異常などを背景に、性質の変化したIgAがつくられ、それに対する免疫反応が起きて腎臓に沈着し、炎症につながると考えられています。
つまり、体質と免疫の反応が重なって起こる病気と考えるとわかりやすいです。
どうやって診断しますか?
IgA腎症が疑われるときは、まず以下を確認します。
- 尿検査
- 尿蛋白の量
- 血液検査での腎機能
- 血圧
- 必要に応じた超音波検査 など
そして、確定診断には腎生検が必要です。
日本のガイドラインでも、IgA腎症の確定診断には腎生検が必須とされています。
腎生検を行うことで、IgA腎症かどうかだけでなく、炎症の程度や将来のリスク、治療方針をより正確に判断できます。
放っておくとどうなりますか?
IgA腎症は、すぐに透析になる病気ではありません。
一方で、人によっては長い経過で腎機能が低下し、慢性腎臓病が進行することがあります。
特に、蛋白尿が多い、血圧が高い、腎機能が低下しているといった所見は、将来の腎予後に関わる重要なポイントです。
日本のガイドラインでも、軽症に見える場合でも将来リスクがゼロではないことが示されています。
治療は何をしますか?
IgA腎症の治療は、腎臓を守る基本治療が中心です。
1. 血圧と蛋白尿をしっかり下げる
治療でとても大切なのは、蛋白尿を減らすことです。
KDIGO 2025では、蛋白尿を0.5 g/日未満、できれば0.3 g/日未満まで下げ、腎機能を安定させることが目標として示されています。
そのために、ACE阻害薬やARBなどの薬が使われます。
2. 生活習慣を整える
- 塩分をとりすぎない
- 血圧を整える
- 体重管理
- 禁煙
- 適度な運動
- 腎機能に応じた食事療法
こうした土台の治療が、腎臓を長く守るうえで非常に重要です。
3. 病状に応じて追加治療を検討する
リスクが高い場合には、基本治療に加えて追加の治療を検討します。
近年は、SGLT2阻害薬、標的放出型ブデソニド、デュアルエンドセリン・アンジオテンシン受容体拮抗薬など、新しい治療選択肢が増えてきました(本邦では保険適応のない薬剤も含む)。
KDIGO 2025でも、こうした治療を組み合わせて考える時代に入ったことが示されています。
実際、IgA腎症を対象とした研究では、
- ダパグリフロジンは腎アウトカム悪化リスクを下げることが示され、
- エンパグリフロジンもCKD全体で腎保護効果を示し、IgA腎症を含む解析でも一貫した利益が報告されています。
- **標的放出型ブデソニド(Nefecon)**は蛋白尿を減らし、eGFR低下を抑える効果が示されています。
- スパルセンタンも蛋白尿をより強く下げる結果が報告されています。
ただし、すべての患者さんに同じ治療が必要なわけではありません。
年齢、蛋白尿の量、腎機能、血圧、腎生検の結果をもとに、適した治療を選びます。
受診の目安
次のような場合は、腎臓内科への相談をおすすめします。
- 健診で尿潜血が続く
- 蛋白尿を指摘された
- 赤い尿、茶色い尿が出た
- 血尿に加えて血圧が高い
- 血液検査で腎機能低下を指摘された
- 家族歴や既往も含めて詳しく調べたい
血尿だけでも「様子見」でよい場合はありますが、血尿に蛋白尿が加わる場合は、より丁寧な評価が大切です。
浦安ツバメクリニックでできること
当院では、IgA腎症が疑われる患者さんに対して、
- 尿検査、血液検査による評価
- 蛋白尿・血尿の程度の確認
- 腎機能や血圧を含めたリスク評価
- 腎エコーによる多発性嚢胞腎など他疾患との鑑別
- 生活習慣と食事についての管理栄養士による栄養指導
- 必要時の専門的治療や高次医療機関との連携
を行っています。
IgA腎症は、早く見つけて、早く適切に管理することが大切な病気です。
健診で尿異常を指摘された方、血尿や蛋白尿が続いている方は、お早めにご相談ください。
参考文献
- KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of IgA Nephropathy / IgA Vasculitis.
- 日本腎臓学会. エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン 2020.
- DAPA-CKD IgA腎症サブ解析、EMPA-KIDNEY関連解析、NefIgArd、PROTECT などの主要試験.
