蛋白尿・血尿
健診で「尿に異常」と言われた方へ
腎臓は、血液をろ過して体の中の老廃物や余分な水分を尿として外に出す臓器です。
それだけでなく、体の水分バランスや塩分バランスを整えること、血圧の調整、赤血球をつくる働きの調節など、全身の健康に関わる大切な役割を担っています。
腎臓は血液をろ過して尿をつくり、体液バランスを保つ重要な臓器です。
健康診断や人間ドックで、
「尿蛋白が出ています」
「尿潜血があります」
と言われて、不安になったことはありませんか。
尿検査は、腎臓や尿の通り道の異常を見つけるための大切な検査です。
とくに蛋白尿や血尿は、慢性腎臓病(CKD)、糸球体の病気、尿路結石、感染症、まれに腫瘍などのサインになることがあります。
CKDは、3か月以上続く腎障害または腎機能低下で定義され、尿異常はその重要な手がかりです。
蛋白尿とは
本来、蛋白はあまり尿に出ません
健康な腎臓は、血液をろ過しながら、体に必要な蛋白をできるだけ外へ漏らさないようにしています。
そのため、尿に蛋白が出るということは、腎臓のフィルターに負担や障害がかかっている可能性があります。
CKDの評価では、尿中アルブミンや尿蛋白はとても重要です。
とくに尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)(本邦の保険診療では糖尿病患者に対して測定可)は、腎障害の程度や将来の腎機能低下リスクを評価するうえで大切な指標とされています。
KDIGOガイドライン2024では、アルブミン尿の程度がCKDの重症度や予後と強く関係するとされています。
蛋白尿で考える主な原因
蛋白尿の原因としては、次のようなものがあります。
- 慢性腎臓病(CKD)
- 糖尿病関連腎臓病
- 高血圧による腎障害
- IgA腎症などの糸球体腎炎
- 発熱、激しい運動、脱水などによる一時的な変化
一時的に蛋白が出ることもありますが、くり返す蛋白尿や持続する蛋白尿は、放置しないことが大切です。
蛋白尿やアルブミン尿は、腎機能低下だけでなく心血管リスクとも関連するため、継続的な評価が推奨されています。
血尿とは
尿に血が混じる状態です
血尿には大きく分けて2種類あります。
肉眼的血尿
尿が赤い、茶色い、コーラ色に見える状態です。
見た目でわかる血尿は、早めの評価が必要です。
顕微鏡的血尿
見た目ではわからず、尿検査で初めて見つかる血尿です。
健診での「尿潜血陽性」は、こちらを含むことが多いです。
AUA/SUFUのガイドラインでは、顕微鏡的血尿は尿沈渣で高倍率視野あたり赤血球3個以上を基本的な定義としています。
血尿は、良性の原因から重要な病気まで幅広い原因で起こるため、年齢や喫煙歴なども踏まえた評価が勧められています。
血尿で考える主な原因
- 尿路感染症
- 尿路結石
- 膀胱炎
- 前立腺の病気
- IgA腎症などの腎炎
- 腎・尿管・膀胱など尿路の腫瘍
- 運動後や月経の影響による一時的変化
つまり血尿は、腎臓の病気でも、尿の通り道の病気でも起こりうるため、背景を見ながら評価することが大切です。
蛋白尿と血尿は、なぜ大切なの?
蛋白尿や血尿は、それ自体が病名ではなく、体の中で何かが起きていることを知らせるサインです。
とくに次のような場合は注意が必要です。
- 蛋白尿が持続する
- 血尿をくり返す
- 蛋白尿と血尿が両方ある
- eGFR低下やクレアチニン上昇を伴う
- 高血圧、糖尿病、むくみがある
- 家族に腎臓病の方がいる
なかでも、蛋白尿と血尿が同時にみられる場合は、糸球体腎炎など腎臓そのものの病気を考える大切な手がかりになります。
CKDの診断や重症度評価では、尿異常の持続と腎機能の両方をみることが基本です。
健診で異常を指摘されたら、重い病気ですか?
必ずしもそうとは限りません。
尿蛋白や尿潜血は、脱水、発熱、激しい運動、採尿条件、月経の影響などで一時的に陽性になることもあります。
そのため、1回の結果だけで決めつけず、再検査で本当に続いているかを確認することが大切です。
一方で、異常が続いているのに放置すると、腎臓の病気や尿路の病気の発見が遅れることがあります。
CKDは慢性的な異常かどうかをみるために、3か月以上の持続を確認して評価します。
当院でのアプローチ
当院では、蛋白尿や血尿を指摘された方に対して、
「一時的な変化なのか」
「腎臓由来なのか、尿路由来なのか」
「早めの精査が必要なのか」
を意識して評価を進めます。
1.まずは尿所見を確認します
- 尿定性(尿蛋白、尿潜血など)
- 尿沈渣
- 必要に応じて尿蛋白/Cr比
- 必要に応じて尿アルブミン/Cr比(ACR)
KDIGOガイドライン2024では、成人CKD評価ではアルブミン尿(本邦の保険診療では糖尿病患者に対して測定可)の確認が重要とされ、ACRは腎リスク評価の中心的な検査です。
2.血液検査で腎機能を確認します
- クレアチニン
- eGFR
- 電解質
- 必要に応じて炎症反応や免疫学的検査
3.背景や併存症を確認します
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- むくみ
- 発熱や咽頭炎の既往
- 結石の既往
- 喫煙歴
- 月経や運動の影響
- 内服薬
4.必要に応じて画像検査や専門科連携を行います
- 腎・尿路エコー
- 泌尿器科紹介
- 腎臓内科での精査
顕微鏡的血尿については、AUA/SUFUガイドラインでもリスクに応じて画像検査や膀胱鏡などを使い分けることが推奨されています。
当院で大切にしていること
蛋白尿や血尿のある方すべてに、最初から大がかりな検査が必要なわけではありません。
一方で、見逃してはいけない異常もあります。
再検査で確認することが多い例
- 軽度の異常が1回だけ
- 発熱や運動後
- 採尿条件の影響が考えられる
- 月経の影響が疑われる
早めの精査が必要な例
- 肉眼的血尿
- 蛋白尿が続く
- 蛋白尿と血尿が両方ある
- 腎機能低下を伴う
- 高血圧や糖尿病がある
- 喫煙歴があり血尿を認める
- むくみ、体重増加、尿量低下がある
こうした見極めを行いながら、必要な方には適切な検査や治療、専門科連携につなげていきます。
こんなときは早めにご相談ください
- 尿が赤い、茶色い
- 健診で何度も尿蛋白や尿潜血を指摘される
- 足のむくみがある
- 血圧が高い
- 糖尿病がある
- 家族に腎臓病の方がいる
- 背中やわき腹が痛い
- 排尿時痛、頻尿、発熱がある
蛋白尿・血尿を放置しないために
蛋白尿や血尿は、症状がなくても見つかることがある大切なサインです。
腎臓の病気は、かなり進行するまで自覚症状が乏しいことも少なくありません。
だからこそ、
- 健診異常をそのままにしない
- 再検査で確認する
- 必要に応じて早めに原因を調べる
ことが大切です。
当院では、尿検査異常に対して、
一時的な変化か
腎臓の病気か
尿路の病気か
を見極めながら、必要な検査や治療、専門科連携につなげていきます。
健診で尿蛋白や尿潜血を指摘された方、くり返す血尿が気になる方は、どうぞご相談ください。
参考文献
- KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease.
- KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline Executive Summary.
- Microhematuria: AUA/SUFU Guideline (2025).
- NIDDK. Your Kidneys & How They Work.
