慢性腎臓病(CKD)とは? 早めに気づき、早めに守るためのお話
〜治療薬の進歩、SGLT2阻害薬についてもわかりやすく解説します〜
健康診断で
「尿にたんぱくが出ています」
「腎機能が少し低下しています」
と言われ、不安になったことはありませんか。
腎臓の病気は、かなり進行するまで自覚症状が出にくいことが多く、知らないうちに進んでしまうことがあります。
そのため、早い段階で見つけて、進行をできるだけゆるやかにすることがとても大切です。
今回は、慢性腎臓病(CKD)とは何か、そして近年注目されているSGLT2阻害薬という治療薬について、できるだけわかりやすくまとめます。
慢性腎臓病(CKD)って何?
CKDは、腎臓のはたらきの低下や尿の異常(たんぱく尿・血尿など)が続いている状態を指します。
一般に、こうした異常が3か月以上続くと、慢性腎臓病と考えられます。腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として出す、大切な臓器です。さらに、血圧の調整、貧血や骨の健康にも関わっています。
腎臓が悪くなると何が問題?
腎機能が低下すると、体の中に老廃物や余分な水分がたまりやすくなります。
また、それだけでなく
- むくみ
- 高血圧
- 貧血
- 骨が弱くなる
- 心臓や血管の病気のリスクが高まる
といった問題にもつながります。
さらに進行すると、透析や腎移植が必要になることもあります。
CKDの主な原因
CKDの原因として特に多いのは、糖尿病と高血圧です。
そのほかにも、腎炎、加齢、遺伝的な病気、薬剤の影響など、さまざまな原因があります。
CKDは症状が出にくい病気です
CKDのやっかいなところは、初期にはほとんど症状がないことです。
かなり進むまで、普段通り生活できてしまう方も少なくありません。
そのため、早期発見には
- 尿検査
- 血液検査(クレアチニン、eGFR)
- 血圧測定
がとても大切です。
特に尿たんぱくは、腎臓からの大切なサインです。健康診断で指摘された場合は、放置せず一度ご相談ください。
CKDの治療で大切なこと
CKDの治療は、「腎臓を元通りにする」というよりも、これ以上悪くならないように守ることが中心になります。
大切なのは次のような点です。
1. 原因となる病気をしっかり治療する
糖尿病や高血圧がある場合、それらを適切に治療することが重要です。
2. 血圧を整える
血圧が高い状態が続くと、腎臓に負担がかかります。
家庭血圧の確認もとても大切です。
3. 尿たんぱくを減らす
尿たんぱくが多いほど、腎臓は傷みやすくなることが知られています。
そのため、尿たんぱくを減らす治療はCKD管理の大きな柱です。
4. 生活習慣を整える
塩分のとりすぎ、肥満、喫煙、運動不足は、腎臓にも悪影響があります。
無理のない範囲で、食事や運動、体重管理を続けていくことが大切です。
近年大きく進歩したCKD治療
SGLT2阻害薬とは?
最近、CKD治療で大きな話題となっているのがSGLT2阻害薬です。
もともとは糖尿病のお薬として使われ始めました。
血液中の糖を尿に出しやすくすることで血糖を下げる薬です。
ところが研究が進むにつれ、血糖を下げる作用だけでなく、
- 腎臓を守る
- 心不全を減らす
- 心血管イベントのリスクを下げる
といった効果が明らかになってきました。
しかも、糖尿病がないCKDの方でも腎保護効果が期待できることがわかってきています。
どうして腎臓に良いの?
詳しい仕組みは少し専門的ですが、簡単に言うと、SGLT2阻害薬は腎臓の糸球体にかかる負担を軽くする働きがあります。
腎臓は長い間、強い圧力の中で無理をすると、少しずつ傷んでいきます。
SGLT2阻害薬は、その“無理な働き”をやわらげることで、腎臓を守る方向に働くと考えられています。
どんな人に使われるの?
SGLT2阻害薬は、すべての方に使うわけではありませんが、
- 糖尿病がある方
- 尿たんぱくが出ている方
- CKDがあり、腎臓や心臓を守る治療が必要な方
などで検討されます。
KDIGO 2024 CKDガイドラインでも、一定の腎機能があり、適応に合うCKD患者さんにSGLT2阻害薬を使うことが推奨されています。
飲み始めてから気をつけること
とても良い薬ですが、もちろん注意点もあります。
代表的なものとしては
- 飲み始めにeGFRが少し下がって見えることがある
- 脱水に注意が必要
- 尿路感染症、性器周囲の感染症に注意
- 食事がとれないとき、発熱や胃腸炎のときは一時的に休薬が必要になる場合がある
などがあります。
そのため、自己判断で始めたりやめたりするのではなく、医師と相談しながら安全に使うことが大切です。
とくに高齢の方、利尿薬を使っている方、体調を崩しやすい方では、より丁寧な確認が必要です。
CKDは「もうだめ」ではなく、「今から守る」病気です
以前は、腎機能が低下すると「悪くなるのを見守るしかない」と思われがちな面もありました。
しかし現在は、
- 血圧管理
- 尿たんぱくを減らす治療
- 糖尿病治療の最適化
- 食事や生活習慣の改善
- SGLT2阻害薬をはじめとした新しい治療
によって、進行をゆるやかにできる可能性が以前より高くなっています。
健診でこんなことを言われたらご相談ください
- 尿たんぱくを指摘された
- 血尿を指摘された
- クレアチニンが高いと言われた
- eGFRが低いと言われた
- 糖尿病や高血圧がある
- むくみやだるさが気になる
腎臓の病気は、早めに気づくことで守れる可能性が高まります。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考にした情報
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. What Is Chronic Kidney Disease in Adults?: https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/chronic-kidney-disease-ckd/what-is-chronic-kidney-disease?utm_source=chatgpt.com
CKDは、腎機能低下や尿アルブミン異常が3か月以上続く状態として説明されており、診断や経過観察にはeGFRと尿アルブミン検査が重要です。
- KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int 2024; 105: S117-S314.
KDIGO 2024ガイドラインやNational Kidney Foundationの患者向け情報では、SGLT2阻害薬はCKDや心不全の進行抑制に有用で、糖尿病がない一部のCKD患者でも腎保護効果が期待されるとされています。
