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慢性腎臓病(CKD)とは? 早めに気づき、早めに守るためのお話

[2026.03.15]
〜治療薬の進歩、SGLT2阻害薬についてもわかりやすく解説します〜

健康診断で
「尿にたんぱくが出ています」
「腎機能が少し低下しています」
と言われ、不安になったことはありませんか。

腎臓の病気は、かなり進行するまで自覚症状が出にくいことが多く、知らないうちに進んでしまうことがあります。
そのため、早い段階で見つけて、進行をできるだけゆるやかにすることがとても大切です。

今回は、慢性腎臓病(CKD)とは何か、そして近年注目されているSGLT2阻害薬という治療薬について、できるだけわかりやすくまとめます。

慢性腎臓病(CKD)って何?

CKDは、腎臓のはたらきの低下や尿の異常(たんぱく尿・血尿など)が続いている状態を指します。
一般に、こうした異常が3か月以上続くと、慢性腎臓病と考えられます。腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として出す、大切な臓器です。さらに、血圧の調整、貧血や骨の健康にも関わっています。

腎臓が悪くなると何が問題?

腎機能が低下すると、体の中に老廃物や余分な水分がたまりやすくなります。
また、それだけでなく

  • むくみ
  • 高血圧
  • 貧血
  • 骨が弱くなる
  • 心臓や血管の病気のリスクが高まる

といった問題にもつながります。
さらに進行すると、透析や腎移植が必要になることもあります。

CKDの主な原因

CKDの原因として特に多いのは、糖尿病と高血圧です。
そのほかにも、腎炎、加齢、遺伝的な病気、薬剤の影響など、さまざまな原因があります。

CKDは症状が出にくい病気です

CKDのやっかいなところは、初期にはほとんど症状がないことです。
かなり進むまで、普段通り生活できてしまう方も少なくありません。

そのため、早期発見には

  • 尿検査
  • 血液検査(クレアチニン、eGFR)
  • 血圧測定

がとても大切です。
特に尿たんぱくは、腎臓からの大切なサインです。健康診断で指摘された場合は、放置せず一度ご相談ください。

CKDの治療で大切なこと

CKDの治療は、「腎臓を元通りにする」というよりも、これ以上悪くならないように守ることが中心になります。

大切なのは次のような点です。

1. 原因となる病気をしっかり治療する

糖尿病や高血圧がある場合、それらを適切に治療することが重要です。

2. 血圧を整える

血圧が高い状態が続くと、腎臓に負担がかかります。
家庭血圧の確認もとても大切です。

3. 尿たんぱくを減らす

尿たんぱくが多いほど、腎臓は傷みやすくなることが知られています。
そのため、尿たんぱくを減らす治療はCKD管理の大きな柱です。

4. 生活習慣を整える

塩分のとりすぎ、肥満、喫煙、運動不足は、腎臓にも悪影響があります。
無理のない範囲で、食事や運動、体重管理を続けていくことが大切です。

近年大きく進歩したCKD治療

SGLT2阻害薬とは?

最近、CKD治療で大きな話題となっているのがSGLT2阻害薬です。

もともとは糖尿病のお薬として使われ始めました。
血液中の糖を尿に出しやすくすることで血糖を下げる薬です。

ところが研究が進むにつれ、血糖を下げる作用だけでなく、

  • 腎臓を守る
  • 心不全を減らす
  • 心血管イベントのリスクを下げる

といった効果が明らかになってきました。
しかも、糖尿病がないCKDの方でも腎保護効果が期待できることがわかってきています。

どうして腎臓に良いの?

詳しい仕組みは少し専門的ですが、簡単に言うと、SGLT2阻害薬は腎臓の糸球体にかかる負担を軽くする働きがあります。
腎臓は長い間、強い圧力の中で無理をすると、少しずつ傷んでいきます。
SGLT2阻害薬は、その“無理な働き”をやわらげることで、腎臓を守る方向に働くと考えられています。

どんな人に使われるの?

SGLT2阻害薬は、すべての方に使うわけではありませんが、

  • 糖尿病がある方
  • 尿たんぱくが出ている方
  • CKDがあり、腎臓や心臓を守る治療が必要な方

などで検討されます。
KDIGO 2024 CKDガイドラインでも、一定の腎機能があり、適応に合うCKD患者さんにSGLT2阻害薬を使うことが推奨されています。

飲み始めてから気をつけること

とても良い薬ですが、もちろん注意点もあります。

代表的なものとしては

  • 飲み始めにeGFRが少し下がって見えることがある
  • 脱水に注意が必要
  • 尿路感染症、性器周囲の感染症に注意
  • 食事がとれないとき、発熱や胃腸炎のときは一時的に休薬が必要になる場合がある

などがあります。
そのため、自己判断で始めたりやめたりするのではなく、医師と相談しながら安全に使うことが大切です。
とくに高齢の方、利尿薬を使っている方、体調を崩しやすい方では、より丁寧な確認が必要です。

CKDは「もうだめ」ではなく、「今から守る」病気です

以前は、腎機能が低下すると「悪くなるのを見守るしかない」と思われがちな面もありました。
しかし現在は、

  • 血圧管理
  • 尿たんぱくを減らす治療
  • 糖尿病治療の最適化
  • 食事や生活習慣の改善
  • SGLT2阻害薬をはじめとした新しい治療

によって、進行をゆるやかにできる可能性が以前より高くなっています。

健診でこんなことを言われたらご相談ください

  • 尿たんぱくを指摘された
  • 血尿を指摘された
  • クレアチニンが高いと言われた
  • eGFRが低いと言われた
  • 糖尿病や高血圧がある
  • むくみやだるさが気になる

腎臓の病気は、早めに気づくことで守れる可能性が高まります。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

参考にした情報

  • National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. What Is Chronic Kidney Disease in Adults?: https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/chronic-kidney-disease-ckd/what-is-chronic-kidney-disease?utm_source=chatgpt.com

CKDは、腎機能低下や尿アルブミン異常が3か月以上続く状態として説明されており、診断や経過観察にはeGFRと尿アルブミン検査が重要です。

  • KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int 2024; 105: S117-S314.

KDIGO 2024ガイドラインやNational Kidney Foundationの患者向け情報では、SGLT2阻害薬はCKDや心不全の進行抑制に有用で、糖尿病がない一部のCKD患者でも腎保護効果が期待されるとされています。

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