長引く咳にご注意を…
朝晩めっきり寒くなり、コートの出番がやってきました。寒暖差に体調を崩される方も増えてくる頃ですね。インフルエンザウイルスやコロナウイルス感染症に加え、マイコプラズマ肺炎も増加しており、トリプルデミックという言葉も登場しました。
国立感染症研究所によると、2024年10月におけるマイコプラズマ肺炎の全国での感染者数は、2023年の同じ時期と比べ約25倍に急上昇しているとのことです。
マイコプラズマ肺炎とは、肺炎マイコプラズマという細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症です。
マイコプラズマ肺炎に罹患した人の多くは気管支炎で済み、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となったり、重症化したりすることもあります。
感染経路
感染した人の咳の飛沫を吸い込んだり、接触することにより感染すると言われています。感染伝播力はコロナウイルスほど強くなく、短時間の曝露による感染拡大のリスクは高くないと考えられています。家族や友人間などでの濃厚接触によるものが重要なようです。潜伏期間は2~3週間とされます。
肺炎マイコプラズマは咽頭・扁桃などの上気道で盛んに増殖せず、気管支から出てきた痰などに存在するため、発症直後のタイミングなどで迅速抗原検査を実施しても偽陰性となるケースも少なくありません(感度 60〜80%)。そのため、迅速抗原検査陰性であっても感染は否定できず、実際にはマイコプラズマ肺炎を発症しているケースもあることから、現在の流行下においては医師の診察を受け、必要な場合には抗菌薬治療を受けることが大切です。マイコプラズマ感染症は、マクロライド系やテトラサイクリン系などの抗菌薬で治療されます。
重症化すると入院の適応となるため、発熱が続いたり、咳や痰などの呼吸器症状が長引く場合などは受診をお勧めします。また、マクロライド系抗菌薬への耐性株が増えてきており、そういった耐性菌に感染した場合は、ニューキノロン系などほかの抗菌薬で治療します。当院では、胸部レントゲン、採血(CRP検査:3分程度)、迅速抗原検査などで診断を行い、適切な治療を行います。
年の瀬ですが、健康で健やかに過ごしていただけるよう、
職員一同診療にあたって参ります。