「紅麹」成分配合サプリメントと尿細管間質性腎炎?
腎毒性物質はプベルル酸!?
「紅麹」成分配合サプリメントによる可能性のある急性腎障害を含む健康被害ですが、可能性のある原因物質としてプベルル酸が報道されていますが、プベルル酸による腎毒性はこれまでよく知られておらず、今回の騒動の原因物質は未だ不明です。
腎障害のパターンは、「尿細管間質性腎炎」
一方で、腎障害のパターンについてはいくつか報道があり、「尿細管間質性腎炎」に似た臨床像とのことです。
血液が糸球体でろ過され、尿細管を通過して最終的に尿となる
腎臓で尿を作っているのは、「ネフロン」という構造です。ネフロンは腎臓の最小単位の構造物であり、腎臓1個に約100万個あります。ネフロンは毛細血管が詰まった「糸球体」と呼ばれる組織から始まります。糸球体に血液が送られると、糸球体ろ過により毛細血管からボーマン嚢に水分がにじみ出します。これが尿の元(原尿)となります。
次に原尿は「尿細管」という細い管に流れていきます。尿細管は、原尿から塩分やたんぱく質など、体にとって必要な物質を選び出し、その約99%を再吸収します。
最終的に残りの1%が、不要な老廃物を含んだ水分である尿として、体外へ排出されます。
尿細管・間質の障害は、一般尿検査のみではスクリーニングしにくい
今回の騒動で問題になっているのは、尿細管と、その周囲にある間質のようです。尿細管・間質の障害は、一般の尿検査ではスクリーニングしにくく、例えば健診でよく実施される尿定性検査で異常がなかったとしても、「尿細管間質性腎炎」がないとは言えません。腎機能などを評価するための血液検査や、尿細管間質障害で異常値を示す尿中マーカーなどを状況に応じて確認し、これらの結果を統合して腎障害の有無や、障害の主座を占う必要があります。また、急激に悪化したり、機能改善が見られない場合などは、腎臓の一部組織を採取し、顕微鏡で評価するような「腎生検」が必要となることもあります。
当院では血液・尿検査の実施から、腎生検の適応判断、状況に応じて近隣の医療機関との速やかな連携が可能です
浦安ツバメクリニックの医師は日本腎臓学会の認定する腎臓専門医であり、現在も近隣の東京ベイ・浦安市川医療センターで腎生検の施行を含めた腎臓病専門診療に携わっています。当院では尿細管・間質障害を含め、腎障害の評価が可能であり、状況に応じて近隣医療機関と連携を取りながら、腎生検やその後の治療までシームレスにつなげることが可能です。
今回の騒動では、連日多くの方よりご相談いただいております。尿量の減少あるいは無尿、血尿、褐色調の尿、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、意欲減退など、腎障害を示唆するような症状のある方など、お気軽にご相談いただけたらと思います。