「紅麹」成分配合サプリメントによる可能性のある腎障害の続報
先日日本腎臓学会より、「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケート調査(中間報告)結果の周知がありました。
あくまでアンケート調査の中間報告であり、全容を解明するものではないため、参考程度のものにはなりますが、本件でお悩みの方への一助となればと思い、関連する情報をまとめたいと思います。
服用開始のタイミング?
服用開始は約4割の方が1年以上前(服用開始時期2023年3月以前)ですが、服用期間が短期間の方(開始時期2023年12月、2024年1月、2月)も発症しておられるようです。
初診日は2023年11月以降で、1月以降の受診が約8割を占めるようです。
どのような症状がある?
初診時の主訴は半数以上の症例で倦怠感や食思不振、尿の異常、腎機能障害であったようです。
腹部症状や体重減少を訴えるかたも少なからずおられるようです。
発熱や嘔吐、頻尿、浮腫や体重増加などを呈する方は比較的少ないようです。
どのような検査値異常がある?
主な検査データ異常としてはFanconi症候群という、近位尿細管障害を疑う所見が目立っており、下記の特徴的所見が認められたようです。
・低カリウム血症
・低リン血症
・低尿酸血症
・代謝性アシドーシス
・尿糖陽性
また、
・eGFR低下
・血清クレアチニン上昇
・尿蛋白増加
・尿β2MG
・尿NAG
となっており、通常尿蛋白の多くならないFanconi症候群としては、尿蛋白がやや多い印象があるようです。
尿β2MG、尿NAGといった尿細管マーカーは非常に高い症例から正常範囲の症例まで症例により差があるようです。
なお、血清CKの上昇はなく、横紋筋融解症による腎障害は否定的であったとのことです。
腎臓はどのような組織像であったか?
尿細管間質性腎炎、尿細管壊死、急性尿細管障害が主な病変のようです。
どのような治療がなされ、どのような経過を辿ったか?
多くはありませんが、透析を要するケースも時にはあるようです。
被疑薬の中止で、腎機能低下はある程度改善する傾向があるようですが、いくつかのケースではステロイド治療を要したようでした。
また、前述のようにFanconi症候群を合併することがあり、不足する電解質補充や、代謝性アシドーシスの補正などを要する症例も多いようでした。
多くは電解質異常を含めて改善するようですが、被疑薬の中止だけでは改善に乏しいケースもあるようで、注意が必要のようです。
被疑薬の中止と、Fanconi症候群を視野に入れた精査が妥当
以上、「紅麹」成分配合サプリメントによると思われる腎障害の続報をまとめました。
なお、健康被害と「紅麹」成分配合サプリメントとの因果関係については科学的な検証が必要であり、原因物質についても候補物質はあるものの、現状はっきりわかっておりません。
とはいえ、被疑剤を服用された場合、被疑剤の服用を一旦中止することが望ましいことには変わりなく、腎機能検査や尿蛋白に加えて、尿糖や血清カリウム値、尿酸値、リン値、HCO3-値の測定などの評価を行うのが良さそうです。