甲状腺疾患
甲状腺とは
甲状腺は、のどの前にある内分泌器官で、H型をしています。甲状腺は、甲状腺ホルモンを分泌することで、体内の代謝を調整しています。甲状腺ホルモンは、細胞のエネルギー代謝を促進し、成長や発育にも関与しています。異常があると、自分自身の健康だけでなく胎児の発育不良や流産、早産などのリスクも上がります。甲状腺は、甲状腺濾胞と呼ばれる球状の袋がびっしりと詰まっており、濾胞の壁は濾胞上皮細胞が一層に並んで作られています。この細胞が甲状腺ホルモンを分泌する細胞です。
甲状腺疾患
甲状腺中毒症
甲状腺でのホルモンが多く作られすぎる場合(甲状腺機能亢進症)と、甲状腺が壊れたりして血液に漏れ出ることにより甲状腺ホルモンが多すぎるようになる場合があります。
- バセドウ病
- プランマー病
- TSH産生(下垂体)腫瘍
- 妊娠性一過性甲状腺機能亢進症
- 無痛性甲状腺炎
- 亜急性甲状腺炎
- 甲状腺ホルモンの過剰摂取
など
甲状腺機能低下症
甲状腺でのホルモンの合成と分泌が低下した場合と、甲状腺ホルモンは十分に供給されているのに、標的組織の作用に異常があってホルモン作用が発揮されない場合があります。
- 慢性甲状腺炎(橋本病)
- 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
- ヨウ素(昆布、ヨード卵、ヨウ素含有含嗽液)の過剰摂取
- 破壊性甲状腺炎の回復期
- 産後一過性甲状腺機能低下症
- 頭や首に生じた悪性腫瘍やリンパ腫に対する放射線外照射療法後
- ヨウ素欠乏
- 中枢性甲状腺機能低下症(脳腫瘍、脳外傷・くも膜下出血後、脳外科手術後、ラトケのう胞、自己免疫性下垂体炎など)
- 甲状腺ホルモン不応症
など
潜在性甲状腺機能異常
症状や所見には表れない程度の軽い甲状腺ホルモンの過不足状態
- 潜在性甲状腺中毒症
- 潜在性甲状腺機能低下症
甲状腺腫瘍(良性・悪性)
- 甲状腺腫(甲状腺が大きくなった状態)
- 結節性甲状腺腫
- 濾胞腺腫
- 腺腫様甲状腺腫
- 甲状腺のう胞
- 甲状腺癌
など
甲状腺が悪くなった時の症状
甲状腺中毒症
- 暑がりになる
- 汗が多く出る
- よく食べる
- やせる
- 手のふるえ
- イライラ
- 下痢
- 胸がどきどきする(動悸)
- 疲れやすい
- 息切れ
- 体温上昇
- 落ち着きがなくなる
- 月経不順
など
甲状腺機能低下症
- 疲労感
- むくみ
- 皮膚乾燥
- 寒がり
- 体毛の脱毛
- 体重増加
- 便秘
- 無気力
- 傾眠
- 月経異常
など
甲状腺腫瘍
- 甲状腺のしこり
- 甲状腺全体の腫れ
- 前頸部の違和感
など
甲状腺の病気になると、上記のような症状が現れることがあります。放置しておくと、生命に危険を及ぼす恐れもあります。上記にあるような症状が出たら、早めに当院にご相談ください。
甲状腺疾患の診断
甲状腺ホルモン(遊離T3および遊離T4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血液検査、必要に応じて甲状腺自己抗体検査、甲状腺エコー検査などを行い、診断します。これらの検査はすべて当院で実施可能(血液検査は外注になります)です。
アイソトープ検査など高度な検査が必要な場合は、連携している医療機関への紹介を行っております。
参考
一般社団法人 日本内分泌学会. 一般の皆様へ. 甲状腺.
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=7, (参照 2023-06-03)